各時代の大争闘

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偽造文書による権威づけ

日曜日遵守に関して聖書上の権威がないことはなお、少なからぬ困惑を引き起こした。人々は、太陽の日をあがめるために「七日目はあなたの神、主の安息である」という神の明白な宣言を退ける自分たちの教師の権威に、疑問をいだいた。聖書の証言がないのを補うために、ほかの工夫が必要となった。一二世紀の終わりごろ英国の教会を訪れたある熱心な日曜日擁護者は、真理の忠実な証人たちの抵抗を受けた。 GCJap 667.2

そしてその働きはほとんど効果がなかったので、彼はしばらくその国を離れ、自分の教えを強要するなんらかの手段を考案した。彼が戻ってきた時、その欠陥は補われ、その後の働きに大きな成功をおさめた。彼は、神ご自身からのものであると称する一巻の巻き物を持ってきた。それには日曜日遵守に必要な命令が書かれていて、それに服従しない者を恐れさせるような恐ろしい脅しが付け加えられていた。この貴重な文書─―それが支持する制度と同様悪質な偽物―─は、天から降下したもので、エルサレムのゴルゴタの聖シメオン寺院の祭壇の上で発見されたものであると言われた。しかし実際は、ローマにある法王の宮殿が、それを生んだ出所である。教会の勢力と繁栄を進展させるための詐欺や偽造行為は、どの時代においても、法王制によって合法とみなされてきたのである。 GCJap 667.3

この巻き物は、土曜日の午後三時から月曜日の日の出まで、労働を禁じていた。そして、その権威は、多くの奇跡によって確証されたと言われていた。定められた時間が過ぎても働いていた人は、体が麻痺したと言い伝えられた。粉屋が穀物をひこうとしたところ、粉の代わりに血が吹き出し、水は勢いよく流れているにもかかわらず、水車は動かないのであった。また、生パンをオーブンに入れた婦人は、オーブンは非常に熱かったにもかかわらず、それを出してみたら生であった。また、別の婦人は、生パンを焼くために三時に用意したが、それを月曜日までとっておくことにしたところ、次の日、それが神の力によって、パンの形にこねられ焼かれているのを見つけた。土曜日の午後三時以後にパンを焼いた人は、翌朝パンをさいたところ、そこから血が流れ出た。このような途方もない迷信的な作りごとによって、日曜日の擁護者たちは、その神聖さを確立しようとしたのであった。 GCJap 668.1

英国におけると同様に、スコットランドにおいても、昔からの安息日の一部を日曜日と結合することによって、日曜日をもっと尊ぶことを確立した。しかし、聖く守るべき時間は、いろいろと異なっていた。スコットランド王の勅令は、「土曜日は、正午から神聖なものとする」ことを宣言し、その時間から月曜日の朝までは、だれも世俗の仕事に従事してはならなかった。 GCJap 668.2

しかし、日曜日の神聖を確立するためにあらゆる努力をしているにもかかわらず、カトリックの聖職者たちは、安息日の神聖な権威と、それに取って代わった制度が人間から出たものであることとを、公然と認めた。一六世紀に、法王庁会議は次のように明白に宣言した。「すべてのキリスト者は、第七日が神によって聖別され、ユダヤ人のみならず、神を礼拝するように見せかけるすべての者によって受け入れられ、守られてきたことを覚えねばならない。しかし、われわれキリスト者は、彼らの安息日を主の日に変えたのである」。神の律法に不正な変更を加えていた者たちは、自分たちの行為の性質を知らなかったのではなかった。彼らは故意に自らを神の上に置いたのである。 GCJap 668.3