各時代の大争闘

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清教徒の海外移住

一七世紀の初め、王位についたばかりの英国王は、清教徒(ピューリタン)たちに、「国教に従わせるか、……それとも国外に追放、または、それ以上の刑に処す」という決意を明らかにした。彼らは、狩り立てられ、迫害され、投獄されて、将来、事態の好転を望むことができなくなった。そして、良心の命じるところに従って神に仕えようとする者にとって、「英国は永久に住むところではなくなった」と考える者が多かった。ある者は、少なくとも、オランダまで避難しようと決心した。彼らは、困難や損失や投獄のうきめにあった。彼らの目的は妨げられ、裏切られて敵の手に渡された。それでも屈せず耐え忍んで、ついに彼らは、オランダ共和国にあたたかく迎えられ、避難することができた。 GCJap 333.3

彼らは逃げる際、家も財産も生計の手段をも置いてきた。彼らは異国に住む異邦人となり、言葉も習慣も異なる人々の中で暮らした。彼らは、生計を立てるために、新しい不慣れな職業につかなければならなかった。これまで耕作に従事していた中年の男が、今度は技術的な職業を覚えなければならなかった。しかし彼らは、そうした事態をも快活に受け入れた。怠けたり悔やんだりして時間を浪費したりしなかった。彼らはしばしば貧困に陥ったけれども、なお彼らに与えられた福音を神に感謝し、妨げられずに霊の交わりができることを喜んだ。「彼らは、自分たちが旅人であることを知り、そのようなものに心を奪われることなく、彼らの最も愛する国、天国に目を向け、心安んじていた」 GCJap 334.1

流浪と困難のただ中にあっても、彼らの愛と信仰は強くなった。彼らは主の約束に信頼した。そして神は、必要な時に必ず助けを与えられた。 GCJap 334.2

神の天使は彼らのそばにいて、彼らを励まし支えた。そして、神のみ手が、海の向こうの土地―─そこで彼らが国を建設し、宗教の自由という尊い遺産を子孫に残すことのできるところ―─を指さした時、彼らは、ひるむことなく摂理の道に従って前進した。 GCJap 334.3

神は、ご自分の民に対する恵み深いみこころの完成のために、彼らに準備をさせるよう、彼らに試練が来るのを許された。教会が衰えたのは、また高められるためであった。神は、教会のために力をあらわし、神に信頼する者を捨てないというもう一つの証拠を世界に示そうとしておられた。神は、サタンの怒りと悪人の策略が、神に栄光を帰して神の民を安全な場所に導くことになるように、諸事件を支配しておられた。迫害と追放が自由への道を開きつつあった。 GCJap 334.4