各時代の大争闘
革命勃発
不幸なフランスは、自分がまいた種の収穫を、血で刈り取った。フランスがローマの支配力に従った結果は、実に恐ろしいものであった。フランスが、ローマ・カトリック教会の影響下において、宗教改革の初期に最初の火刑柱を立てたところに、革命は、その最初のギロチンをすえた。一六世紀に、プロテスタントの信仰のための最初の殉教者が焼かれたその同じ場所で、一八世紀に、最初の犠牲者がギロチンで殺された。フランスに癒しをもたらしたはずの福音を拒んだために、フランスは、不信と破滅の門を開いた。神の律法の抑制を放棄してしまった時に、人間の法律では人間の激情の強力な潮流を抑止できないことが明らかになった。そして国民は、反乱と無政府状態に陥ってしまった。聖書に戦いをいどんだことが、世界史において恐怖政治の時代と呼ばれる一時代を開くことになった。人々の家庭と心から、平和と幸福が去った。だれも安心しておられなかった。今日勝ち誇っている者が、明日は嫌疑をかけられて罪に定められた。暴力と欲望が、わがもの顔に横行した。 GCJap 324.2
王侯、聖職者、貴族たちは、興奮して熱狂した人々の残虐行為に服するほかなかった。彼らの復讐欲は、王の処刑によって、いっそう強烈になるばかりであった。そして、王の処刑を命じた人々が、まもなく引き続いて処刑台に上った。革命の反対者であるという嫌疑を受けた者たちは、皆殺しにされた。 GCJap 325.1
牢獄は満ちあふれ、一時は囚人が二〇万人を超えた。国内の諸都市は、恐ろしい光景で満ちた。革命家の一派は他の一派と争い、フランスは、大群衆の激情の嵐のままに揺れる一大戦場と化した。「パリでは暴動が次々に起こり、市民たちは、さまざまの党派に分かれていたが、それは互いに滅ぼし合おうとしているとしか思えなかった」。国を挙げての悲惨に加えて、国家はヨーロッパ大同盟軍との、長期にわたる破壊的な戦争状態に陥った。「国家は破綻をきたし、軍隊は給料の支払いを要求し、パリっ子たちは食に飢え、地方は盗賊に荒らされ、文明は、無政府と放縦のために絶滅しそうになっていた」 GCJap 325.2
ローマが丹念に教えた残虐と拷問のやり方を、人々はあまりにもよく覚えていた。ついに、報復の日がやってきた。今度、牢獄に入れられ、火刑柱に引かれていくのは、イエスの弟子たちではなかった。この人々は、ずっと前に殺されるか、あるいは追放されるかしていた。今、苛酷なローマは、流血行為を喜ぶように自分が訓練してきた人々の、恐ろしい力を感じた。「フランスの聖職者たちが長年にわたって演じてきた迫害の前例は、今彼らに手厳しくはね返ってきた。処刑台は、司祭の血で赤く染まった。かつてユグノー教徒で充満したガレー船と牢獄は、今、彼らの迫害者たちで満員になった。ローマ・カトリックの司祭たちは、鎖で腰掛けにつながれてかいをこぎ、教会が温和な異端者たちに容赦なく味わわせた苦悩を、あますところなくなめたのであった」 GCJap 325.3