各時代の大争闘
フランスの殉教者たち
「彼らの主も、この都で十字架につけられたのである」。この預言の言葉もまた、フランスによって成就した。キリストに対する敵意が、この国以上に著しくあらわれたところはない。真理が、これ以上に激しく残酷な反対にあった国は他にない。フランスは、福音を信じる者に迫害を加えることによって、主の弟子たちを通してキリストを十字架につけたのであった。 GCJap 312.1
聖徒の血は、幾世紀にわたって流された。ワルド派の人々は、「神の言葉とイエス・キリストのあかしのために」、ピエモンテの山々で彼らの生命を捨てた。彼らの同信の仲間たち、フランスのアルビ派の人々も、真理のための同様のあかしを立てた。宗教改革時代には、その支持者たちは恐ろしい拷問によって殺された。国王や貴族、上流の婦人や優雅な少女、国家の誇りである騎士たちが、イエスの殉教者たちの苦悩を見て楽しんだ。勇敢なユグノー教徒たちは、人間の心が最も神聖視するこれらの権利のために闘い、多くの激戦地で彼らの血を流した。プロテスタント教徒は、法律の保護外の者とみなされ、彼らの首には懸賞金がつけられて、あたかも野獣のように狩り立てられた。 GCJap 312.2
「荒野の集会」と呼ばれる、昔のキリスト教徒の子孫が、一八世紀のフランスにわずかながら残っており、南方の山中に隠れて、先祖の信仰を依然として守っていた。彼らが、夜、山腹やさびしい荒れ地で集会を開こうとすると、竜騎兵に追撃され、一生ガレー船につながれる奴隷として引き立てられるのであった。 GCJap 312.3
フランスの、最も純潔で最も洗練され、最も知的な人々が、強盗や暗殺者に混じって鎖につながれ、恐ろしい拷問を受けた。少しは情けある扱いを受けた他の者たちは、武装もなく無力なまま、ひざまずいて祈っているところを射殺された。彼らの集会の場所は、何百人という年老いた人々、無防備な婦人、罪のない子供たちが、彼らが集会をもったその場所で殺されて地上に捨てておかれた。彼らがよく集会を開いていた山腹や森林を通る時、「数歩行くごとに、草原に死体が散在するか、または木からたれ下がっている」のを見つけるのは、珍しいことではなかった。彼らの地方は、剣と斧と火刑の薪束で荒らされ、「陰うつな一大荒野と化した」「こうした残虐行為は、……暗黒時代ではなくて、輝かしいルイ一四世の時代に行われたのであった。その当時、科学は発達し、文芸は栄え、宮廷や首都の聖職者たちは学識ある雄弁家たちで、柔和と愛の美徳を大いに愛好する人々だったのである」 GCJap 313.1