各時代の大争闘

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福音拒否の結果

真理の光を拒んだ国家の暗黒は、恐ろしいものになった。「人を救う」恵みがすでにあらわれた。しかしフランスは、その力と神聖さを見、幾千の者がその天来の美に心を引かれ、町々村々がその光に照らされたにもかかわらず、光よりも暗黒を選んで背いたのであった。彼らは、神の賜物が提供されたのにそれを退けた。彼らは悪を善と呼び、善を悪と呼んで、ついに自ら進んで自己欺瞞のとりこになった。そして今、彼らは、神の民を迫害することにより、神に奉仕していると実際に信じこんでいたが、その真剣さが彼らを罪なしとするわけではなかった。彼らは、彼らを欺瞞から救い、彼らの魂を血で汚す罪から救うことができたはずの光を、故意に拒んでしまったのであった。 GCJap 264.1

異端撲滅の厳粛な誓いが、大聖堂において行われた。その場所には、約三〇〇年後に、生きた神を忘れた国民が理性の女神をまつるのであった。ふたたび、行列が整えられ、フランスの代表者たちは、誓ったことの実行に取りかかった。「処刑台が少しの間隔をおいて立てられ、プロテスタントのキリスト者が生きながら焼かれることになっていた。そして、王が近づいた時に、薪に火をつけ、行列が止まって処刑を見るようにした」 GCJap 264.2

これらの証人が、キリストのために耐えたさまざまの責め苦は、あまりに痛ましくて詳述できないほどである。しかしながら彼らは、決して動揺しなかった。取り消しを勧められた時、一人は次のように答えた。「わたしは、預言者たちと使徒たちとがかつて教え、そしてすべての聖徒たちが信じたことだけを信じる。わたしの信仰は神に対する確信であって、黄泉のすべての力に打ち勝つものである」 GCJap 265.1

行列は幾たびとなく、処刑の場に立ち止まった。やがて王宮の出発点に戻ると、群衆は散っていき、王と高位聖職者たちはその日の行動に満足し、異端を全滅するまで継続すべき仕事が始まったことを祝って別れた。 GCJap 265.2

フランスが拒否した平和の福音は、徹底的に根絶され、恐ろしい結果を招いた。フランスが全力を挙げて、宗教改革者たちを迫害しはじめた日から、二五八年後の一七九三年一月二一日、以前とは全く異なった目的のもとに、もう一つの行列がパリ市中を通った。「ふたたび、王が主要な人物であった。ふたたび、騒ぎと叫び声があった。ふたたび、もっと多くの犠牲者を求める声があがった。ふたたび、黒い処刑台が立てられた。ふたたび、その日の出来事は、恐ろしい処刑で終わった。ルイ一六世は、看守や処刑者たちに押さえられて、もがきながら処刑台まで引きずられてきた。そして、そこで、人々に力いっぱい押さえられ、斧が落ち、彼の首は処刑台上に転がった」。犠牲になったのは王だけではなかった。血なまぐさい恐怖時代に、そのあたりで二八〇〇人がギロチンで殺されたのである。 GCJap 265.3

宗教改革は、世の人々に聖書を開き、神の律法の教えを示し、その要求するところを人々の良心に訴えた。無限の愛の神は、人々に天国の律法と原則を示しておられた。神は言われた。「あなたがたは、これを守って行わなければならない。これは、もろもろの民にあ GCJap 265.4

なたがたの知恵、また知識を示す事である。彼らは、このもろもろの定めを聞いて、『この大いなる国民は、まことに知恵あり、知識ある民である』と言うであろう」(申命記4章6節)。フランスが天の賜物を拒否した時に、無政府と破滅の種をまいた。そして、その必然の結果として、革命と恐怖政治が起こったのである。 GCJap 266.1