各時代の大争闘
著しい進展
しかし、彼らの希望は実現しなかった。試練と迫害がキリストの弟子たちを待っていた。ところが、これは、恵みのうちに彼らの目から隠されていた。彼らが嵐に直面する力を養うために、平和な時が与えられた。そして、改革事業は著しく進展した。モーの司教は、彼の教区内の聖職者と人々とを教えるために熱心に働いた。無知で不道徳な司祭は除かれ、できるだけ学識と敬虔の念に富む人と交替した。司教は、人々が神の言葉を自ら手にするようになることを切望した。そして、これはまもなく実現した。ルフェーブルは、新約聖書の翻訳に着手した。そして、ルターのドイツ語聖書が、ウィッテンベルクの出版所から発行されていた時に、フランス語の新約聖書が、モーで出版された。司教は、それを彼の教区内に配布するために、労力も費用も惜しまなかった。やがてモーの農民たちは、聖書を持つようになった。 GCJap 248.2
のどが渇いて死にそうな旅人が、清水の泉を喜んで歓迎するように、これらの人々は天からの使命を受け入れた。畠で働く人々、仕事場の職人たちは、聖書の尊い真理を語り合って日ごとの仕事に励んだ。夜は、酒場に行くかわりに、お互いの家に集まって、神の言葉を読み、祈りと賛美に加わった。まもなく一大変化がこれらの町々に起こった。 GCJap 248.3
彼らは、卑賤な階級に属する無学な労働者農民であったが、彼らの生活に、神の改変し向上させる神の恵みの力があらわれた。彼らは、謙遜で愛と聖潔の人となり、福音は真心からそれを受け入れる人々をどのように変えるかの証人となった。 GCJap 248.4
モーで点じられた光は、遠くまで輝いた。信者の数は日ごとに増加した。修道士たちの頑迷さを軽蔑していた王によって、高位聖職者たちの怒りは、一時牽制されていた。しかし、ついに、法王側の指導者たちが勝利した。今や、火刑柱が立てられた。モーの司教は、火刑か取り消しかを選ぶように強いられて、安易な道を選んだ。しかし、指導者が倒れたにもかかわらず、彼の群れは堅く立った。多くの者が、火炎の中で真理のあかしを立てた。火刑における勇気と忠誠とによって、これらの卑しいキリスト者たちは、平和な時代には彼らのあかしを聞くこともなかった幾千の人々に、語ったのであった。 GCJap 249.1