患難から栄光へ
イエスの宗教の特質
パウロによればイエスの宗教の特質は次のようなものである。 AAJ 5.2
まずこの宗教は母胎であるユダヤ教と同じく、創造主である神を信じ、その神による万物の創造と支配を信じる。また人間は神の前に罪を犯し、自分の力で自分を救うことができず、ただ神の裁きによって滅びに定められていることを信じる。しかし、父である愛の神は人間が罪の裁きをうけて滅びることを望まず、御子イエスを世につかわし、人間の身代わりとして十字架の裁きをうけさせ、その犠牲の死によって罪人が受けるべき刑罰をうけさせられた。この十字架の刑死を受けたイエスこそ、神のひとり子であり、その方は神性をもっておられるので墓から甦り、生けるキリストとして今や神の救いの完結のために働いておられる。神がその救いを完結されるの はイエス・キリストが多くの天使をひきつれて再びこの地上に来られるときである。そのとき栄光あふれる神の国が出現するのである。 AAJ 5.3
宗教は教義と共に宗教経験から成り立っている。パウロの宗教経験は新生ということに特徴を示していた。パウロは自分の自我は日毎に死に、キリストと共に新しい自己が生まれると言った。これが積極的な生き方の秘訣ひけつであり、困難に対処する道であるとパウロは説いた。ここに死して生きるという宗教経験の極致がある。これはパウロの生涯を通じて深められた経験であった。 AAJ 6.1