各時代の大争闘
信仰の放棄か、死か
コンスタンツに到着したフスは、完全な自由が与え GCJap 122.5
られた。皇帝の通行券には、法王の個人的な保護の保証もつけ加えられた。しかし、これら厳粛な、また繰り返し保証された言明が無視されて、フスはまもなく、法王と枢機卿たちの命令によって逮捕され、忌まわしい牢獄に入れられた。後に彼は、ライン川の向こうの堅固な城に移され、囚人として監禁された。法王は、その背信によって益するところなく、まもなく同じ牢獄に入れられた。彼は、会議において、殺人、聖職売買、姦淫のほかに、「言うことさえ恥じるべき罪」、最も下劣な罪を犯したことが証明された。こうして、会議そのものの宣言によって、彼はついに三重冠を取り上げられ、投獄された。彼と対立していた法王たちも廃されて、新しい法王が選ばれた。 GCJap 123.1
コンスタンツ会議は、フスが常に非難し改革を要求していた司祭たちよりも大きな罪を犯していた法王自身を退位させたにもかかわらず、改革者フスをも粉砕しようとした。フスの投獄は、ボヘミアの人々を大いに怒らせた。有力な貴族たちは、この暴挙に対して激しい抗議を会議に申し入れた。通行券の侵害を許すことを好まなかった皇帝は、彼に対する処置に反対であった。しかし改革者の敵たちは、激しい憎しみと堅い決意を抱いていた。彼らは皇帝の、偏見と恐怖と教会に対する熱意とに訴えた。「たとえ皇帝や王たちから通行券を交付されていたとしても、異端および異端の嫌疑を受けた者には、約束を守るべきではない」ということを証明するために、彼らは長い議論を展開した。こうして彼らは、その主張を通した。 GCJap 123.2
牢獄内の湿気と悪い空気のために、フスは死ぬほどの熱病にかかった。病気と獄中生活のために衰弱したフスは、ついに会議に呼び出された。彼は鎖につながれて、彼を保護することを名誉と誠実にかけて誓った皇帝の前に立った。長期にわたる取り調べの間、彼は堅く真理を主張した。そして、教会と国家の高位高官たちのいならぶ前で、彼は、教権制度の腐敗を、あり GCJap 123.3
のままに厳かに抗議した。彼の教義を取り消すか、それとも死を選ぶか求められた時、彼は、殉教者の運命を受け入れた。 GCJap 124.1
神の恵みが彼を支えた。最後の宣告が下される前の苦難の数週間にわたって、天からの平安が彼の心を満たした。彼は友人にこう書いている。「わたしはこの手紙を牢獄の中で、そしてつながれた手で書いている。明日死の宣告を受けることを予期しつつ。……イエス・キリストの助けによって、われわれが、ふたたび、来世の快い平和のうちに再会するときに、神がどんなに恵み深く、ご自身をわたしにあらわされたか、また、誘惑と試練のただ中にあって、どんなに力強くわたしを支えてくださったかを、あなたは知ることであろう」 GCJap 124.2
彼は、陰気な牢獄の中で、真の信仰の勝利を予見した。彼は夢の中で、自分が福音を説いていたプラハの礼拝堂に帰り、そこで、自分が壁に描いたキリストの絵を、法王や司教たちが消しているのを見た。「この幻は彼を悩ました。しかし次の日に、彼はたくさんの画家たちが、これらの絵をさらに多く、さらに鮮やかな色彩でもって、回復しているのを見た。その仕事が終わるや否や、画家たちは集まったおびただしい群衆に叫んだ。『さあ、法王でも司教でも来るがよい! 彼らには、もう決して消し去ることはできない』」。フスは夢の話をして、次のように言った。「わたしは、キリストのみ姿は消し去ることができないことを堅く信じる。彼らはそれを破壊しようとしたが、それは、わたしよりももっと力ある説教者たちによってすべての人の心に鮮やかに描かれることであろう」 GCJap 124.3