各時代の大争闘
最後の戦いの準備
今やサタンは、主権をめざして最後の大いなる戦いの準備をする。力を奪われ、欺瞞の働きができないようにされていた間は、悪の君は、みじめな、意気消沈したありさまであった。しかし今、悪人たちがよみがえり、しかもその大群が自分の味方であることを知って、彼は望みを取り戻し、大争闘に負けてはならないと決心する。彼は、滅びる者たちの全軍を自分の旗下に集め、彼らを通して自分の計画を遂行しようとする。悪人たちはサタンのとりこである。キリストを拒んだことによって、彼らは反逆の指導者の支配を受け入れたのである。彼らは簡単にサタンのそそのかしを受け入れ、その命令に従う。しかもサタンは、昔と変わらないずるさで、自分がサタンであるとは認めない。彼は、自分がこの世界の正当な君であるのに無法にもその継承権を奪われたのだと主張する。彼はその欺いた部下に対して、自分が贖い主であると主張し、彼らを墓からよみがえらせたのは自分の力であって、自分は残酷な暴政から彼らを救い出そうとしているのだと言う。キリストのお姿が見えなくなると、サタンはこれらの主張を裏書きするために不思議な業を行う。彼は、弱い者を強くし、すべての者に彼自身の精神と力を吹き込む。サタンは、彼らを指揮して聖徒たちの陣営を襲い、神の都を占領しようと提案する。彼は悪魔らしい大満悦をもって、死からよみがえらされた無数の大群衆を指さし、その指導者として、聖都を破壊し王座と王国を奪還することが十分できると宣言する。 GCJap 768.3
この大群の中には、ノアの洪水前に生存していた長寿の種族がいる。それは立派な体格と偉大な知能を持った人たちで、堕落天使の支配に身をゆだねて、あらゆる技量と知識を自分自身を高めるためにだけ用いてきた人たちである。それはまた、すばらしい芸術の作品によって、世の人々からその天才を偶像視されながら、その残酷さと邪悪な発明が地上を汚し、神のみかたちを汚したため、神によって地から一掃された人たちである。 GCJap 769.1
そこには、諸国を征服した王侯や将軍たち、戦場においてかつて敗れたことのない勇士たち、近づいただけで諸国を戦慄させた高慢で野心満々たる戦士たちがいる。死によっても彼らは変化を経験しなかった。彼らが墓から出てきた時、彼らの考えはその停止していたところから動き始める。彼らは、彼らが倒れた時に彼らを支配していたのと同じ征服欲によって行動する。 GCJap 769.2
サタンは悪天使たちと相談し、それからさらに王侯、征服者、有力者たちと相談する。彼らは、味方の勢力と数を眺めて、これに比べれば聖都の中の軍勢は少数だから打ち負かすことができると断言する。彼らは新エルサレムの富と栄光を手に入れようと計画を立てる。全員は直ちに戦闘準備を開始する。熟練した技術者たちは兵器の製作にとりかかる。作戦成功で有名な軍事指導者たちは、好戦的な群衆を指揮していくつもの軍団に分ける。 GCJap 769.3
ついに進軍命令が出され、無数の大軍が行進を開始する。これは地上のどんな征服者によっても召集されたことのない大軍であり、この地上で戦争が始まって以来各時代の軍勢を合わせてもなお比較することのできないほどの大軍である。最も強力な戦士であるサタンは自ら先頭の軍を率い、悪天使たちもこの最後の戦いに勢力を集中する。王侯や将軍がサタンに続き、群衆は大軍団となって従い、各軍団にはそれぞれ指揮官が任命されている。密集した部隊は、軍隊らしく秩序整然として、破壊されてでこぼこになっている地上を神の都に向かって進軍する。イエスのご命令によって新エルサレムの門は閉じられ、サタンの大軍は都を包囲して、突撃の態勢をとる。 GCJap 770.1