各時代の大争闘

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無法がもたらすもの

人々に神の戒めを軽んじるように教える者は、不従順の種をまき、不従順を刈り入れる。神の律法によって課せられている拘束を全部取り去るならば、人間の法律もまもなく無視されるであろう。神は不正な慣習、貪欲、虚偽、詐取を禁じておられるので、人々は自分たちが世俗的に繁栄する道の障害として、神の戒めをやすやすと踏みにじる。しかし、これらの戒めを追い払った結果は、彼らの予期しなかったものとなるであろう。もし法律に拘束されないならば、違反を恐れる必要があろうか。財産はもはや安全ではなくなる。人々は力ずくで隣人の持ち物を手に入れ、最も強い者が最も富める者になる。生命そのものが尊重されなくなる。結婚の誓約は、もはや家族を守る神聖なとりでとしての用をなさなくなる。力を持っている者が、もし望むなら、隣人の妻を腕ずくで取るようになる。第五条は第四条とともに廃される。子供たちは、親の生命を取ることで自分の堕落した心の願いを達成できるならば、そうすることを恐れなくなる。文明社会は強奪者、暗殺者の大群と化し、平和、休息、幸福は地上から消滅してしまう。 GCJap 678.2

人間は神のご要求に従うことから解放されているという教えが、すでに道徳的義務の力を弱め、世に不法の水門を開いてしまった。無法、放蕩、堕落が、押し寄せる潮のように、われわれの上に流れ込んできている。家庭においてもサタンは働いている。サタンの旗は、キリスト者と称する家庭にもひるがえっている。ねたみ、中傷、偽善、不和、競争、争い、聖なる信頼に対する裏切り、肉欲の放縦がある。社会生活の土台であり骨組みである宗教的原則と教理の全体系が、ひとかたまりとなってよろめき、今にも崩壊しそうに見える。凶悪きわまる犯罪者が、投獄されたような場合でも、何かうらやまれるほどの手柄を立てたかのように、贈り物を受けたり注目を集めたりすることがしばしばある。彼らの性格と犯罪行為が、大々的に宣伝される。新聞は悪徳の詳細を報道し、こうして他の人々に、詐欺や強奪や殺人を行うことを教え込む。 GCJap 679.1

そしてサタンは、自分の邪悪な計略が成功したことに狂喜するのである。悪徳の蔓延、理由のない残忍な殺傷、あらゆる種類あらゆる程度の不節制と不正行為の恐るべき増加を見る時、神をおそれる者たちはみな目覚めて、この悪の潮流をとどめるにはどうしたらよいかを考えてみなければならない。 GCJap 679.2

裁判所は腐敗している。支配者たちは利益と享楽を求めて行動している。不節制によって多くの人の能力がくもらされ、そのためサタンは彼らをほとんど完全に支配している。法曹界は堕落し、買収され、だまされている。飲酒、歓楽、欲情、ねたみ、あらゆる種類の不正が、為政者たちの中にあらわれている。「公平はうしろに退けられ、正義ははるかに立つ」(イザヤ書59章14節)。 GCJap 679.3