各時代の大争闘
人間を破滅させるもの
心霊術は、放縦で快楽を愛好し、肉欲的な人々には、教養があって知的な人々に対するほど巧妙に偽装しなくてもよい。彼らは、その低劣な形態の中に、彼らの好みに合ったものを見つける。サタンは、人間の性質のあらゆる弱さの徴候をよく調べ、それぞれが犯しやすい罪に注目し、悪の傾向を満足させる機会に欠けることのないように注意を払う。サタンは人々を、それ自身は正当であるものに過度に陥らせ、不節制によって、彼らの肉体的、精神的、道徳的能力を低下させる。彼は、人々に情欲をほしいままにさせ、こうして人間の性質全体を獣的なものにして、これまでに幾千の人々を破滅させ、また今も破滅に陥れつつあるのである。そして彼は、彼の働きを完成させるために、霊たちを通して、「真の知識は、人間をしてすべての律法を超越したものとする」、「存在するものは、すべて正しい」、「神は、罪に定めることはない」、そして、「犯した罪はすべて無罪である」と言うのである。 GCJap 643.1
このようにして、欲望が最高の律法であって、自由は放縦であり、人間はただ自分に対する責任しかないと、人々が考えるようになれば、至るところに腐敗と堕落がはびこっても不思議ではないのである。多くの者は、肉の心のおもむくままに自由な行動をすることを許す教えを、熱心に受け入れるのである。彼らは、肉の欲をほしいままにし、心と魂の能力は、動物的な傾向に従属するものとなる。そしてサタンは、キリストの弟子であると称する幾千の人々を彼の網の中に捕らえて勝ち誇るのである。 GCJap 643.2
しかし、だれも心霊術の偽りの主張に欺かれる必要はない。神は、わなを見つけることができるのに十分な光を、世の人々に与えておられる。すでに示したように、心霊術のいちばん根底にある教えは、聖書の最も明瞭な言葉に相反するものである。聖書には、死者は何事も知らない、彼らの思いは滅びた、彼らは日の下に行われるどんなことにもかかわりがない、彼らは地上にいる愛する者たちの喜びや悲しみを知ることはないと、はっきり述べられている。 GCJap 644.1
さらに神は、いわゆる死者の霊との交通と称するものを、すべてはっきりと禁じておられる。ヘブル人の時代にも、今日の心霊術者と同様に、死者と交通すると主張するある種の人々がいた。しかし、他の世界から来たといわれている「口よせの霊」が、聖書には「悪鬼の霊」と断言されている(民数記25章1~3節、詩篇106篇28節、コリント第一・10章20節、黙示録16章14節を比較せよ)。口よせの霊を呼ぶことは神が忌みきらわれるものと明言され、死の刑罰をもって厳しく禁じられていた(レビ記19章31節、20章27節参照)。口よせという名称そのものは、今日では軽蔑されている。人が悪霊と交わることができるという主張は、暗黒時代の作り話と考えられている。しかし心霊術は、幾十万、いや幾百万の信者を持ち、科学者たちの仲間にも入り込み、諸教会に侵入し、議会の好意を得、王室にまでも侵入している。この巨大な欺瞞は、昔罪とされ、禁じられていた口よせが、新しく変装して復活したものにすぎないのである。 GCJap 644.2