各時代の大争闘

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心霊術の正体

死んだ者が実際に自分たちと交わるために戻ってくると人々が信じるようになると、サタンは、備えのないまま墓にくだった者たちを出現させる。彼らは、自分たちは天では幸福であり、高い地位さえ占めていると公言する。そしてこのようにして、正しい者と悪い者との間に違いはないという誤謬が広く教えられる。霊界から来たと称する者たちは、時には注意や警告を語って、それがそのとおりになることがある。そこで信頼を得ると、彼らは聖書の信仰を直接侵害するような教えを持ち出す。地上にある友人たちの幸福に対する深い関心を装いながら、彼らは最も危険な誤謬をそれとなくほのめかす。彼らが幾つかの真理を語り、また時には未来の出来事を預言することができるという事実から、彼らの言葉には信ぴょう性があるように見える。そして彼らの偽りの教えは、あたかも聖書の最も神聖な真理であるかのように、大衆によってたやすく承認され、暗黙のうちに信じられる。神の律法は退けられ、恵みのみ霊は軽蔑され、契約の血は清くないものとみなされる。霊たちはキリストの神性を否定し、創造主さえ自分たちと同じ水準に置く。このように新しい変装の下に、大反逆者サタンは、天において始まり、地上において六千年近く続いている、神に対する彼の戦いを、依然として続けるのである。 GCJap 639.3

多くの者は、心霊現象を、全く霊媒の欺きやからくりであると説明しようと努める。しかし、ごまかしを本物と信じさせた場合がたびたびあったことは事実だが、一方超自然的な力の著しいあらわれもまたあったのである。近代心霊術はコツコツたたく不思議な音(ラッピング)から始まったのであるが、その音は人間のごまかしや欺きによるのではなく、悪天使たちの直接の働きであった。彼らはこのようにして、魂を滅ぼすのに最も効果的な惑わしの一つを持ち込んだのである。多くの者は、心霊術は単なる人間のごまかしであるという信念によってわなにかかる。というのは、超自然的と思わないではいられないような現象に直面した場合、彼らは欺かれ、それを神の偉大な力として承認するようになってしまうからである。 GCJap 640.1

こうした人たちは、サタンとその代理者たちとによって行われる不思議なことについての、聖書のあかしを見落としているのである。パロの魔術師たちが神のみ業のまねをすることができたのは、サタンの助けによってであった。パウロは、キリストの再臨の前には同じようなサタンの力のあらわれがあるであろうと証言している。主の来臨に先立って、「あらゆる偽りの力と、しるしと、不思議と、また、あらゆる不義の惑わし」を行う「サタンの働き」がある(テサロニケ第二・2章9、10節)。また使徒ヨハネは、終わりの時代にあらわれる、奇跡を行う権力を描写して、「また、大いなるしるしを行って、人々の前で火を天から地に降らせることさえした。さらに、先の獣の前で行うのを許されたしるしで、地に住む人々を惑わし」たと述べている(黙示録13章13、14節)。ここに預言されているのは単なる詐欺ではない。サタンの代理者たちが人の目をごまかして行うようなことによってではなく、実際に彼らが行う力を持っているその奇跡によって、人々は欺かれるのである。 GCJap 640.2