各時代の大争闘

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サタンの巧妙な策略

聖書に直接的な多数の証拠があるにもかかわらず、悪魔と悪天使たちの存在と働きを否定する人々ほど、悪霊の力に動かされる大きな危険の中にある人たちはいない。われわれが彼らの策略に無知であるかぎり、彼らは、われわれには想像もつかないほど優位にある。多くの者は、彼らの暗示に耳を貸し、それでいて、自分自身の知恵の命じるところに従っていると考える。このために、サタンは、人々を欺き滅ぼすために全力で働く世の終末が近づくにつれて、サタンは存在しないという考えを至るところに広めるのである。自分と自分のやり方とを隠すのが、サタンの手である。 GCJap 596.2

この大欺瞞者が最も恐れていることは、われわれが彼の策略を見破ることである。彼は自分の正体と目的を巧みに隠すために、嘲笑、あるいは軽蔑ぐらいはよいが、それ以上の激しい感情を人々に抱かせないように、自分を描写させている。彼は自分が、こっけいな、あるいは胸の悪くなるようなもの、ぶかっこうな半獣人として描かれることを好む。またサタンは、知力と世知にたけていると自認する人々が彼の名を嘲笑し冷やかすのを聞いて、喜ぶのである。 GCJap 596.3

「そんなものが実際にいるのか」という疑問が広く発せられるのは、サタンが非常に巧妙な仮面をかぶってきたためである。また、宗教界においても、聖書の明白な証言に矛盾する説が一般に受け入れられていることは、彼の成功を証拠だてている。そして神のみ言葉が、彼の悪意に満ちた働きの例を多数挙げて、彼の隠れた力を暴露し、その攻撃に対してわれわれに警戒させているのは、サタンの力を知らない者の心は実にたやすくサタンに支配されるからである。 GCJap 597.1

もしわれわれが、サタン以上の贖い主の力のうちに、隠れ家と救いを得ていないならば、サタンとその軍勢の力と悪意とに恐怖を抱くのは当然であろう。われわれは、錠をかけて家の戸締まりをよくし、生命と財産を悪人の手から守ろうと気をつける。しかしわれわれは、常にわれわれに近づこうとしている悪天使のことは、ほとんど考えない。われわれはその攻撃に対して、自分では防御する方法がないのである。もし許されるならば、彼らはわれわれの心を狂わせ、体に変調を起こさせて苦しめ、財産を破壊し生命を奪うのである。彼らの唯一の喜びは、悲惨と破壊である。神の要求を拒み、サタンの誘惑に負ける者の状態は、実に恐ろしく、神もついには彼らを、悪霊の支配に渡されるようなことになるのである。しかし、キリストに従う者は、常に彼の保護のもとにあって安全である。力強い天使が天から送られて彼らを守る。悪人たちは、神が神の民のまわりに配置された警護を破ることができないのである。 GCJap 597.2