各時代の大争闘
キリストに対するサタンの挑戦
救い主の地上でのご生涯の間、キリスト対サタンの戦いにおいて、この大欺瞞者の品性が暴露された。世の救い主に対するサタンの残酷な戦いほど、サタンに対する天使たちと忠実な全宇宙との同情を失わせるのに効果のあったものはなかった。キリストに対して屈服を要求したあの大胆な冒瀆、キリストを山の頂と宮の頂上に連れて行った彼の潜越な大胆さ、目がくらむような高い所から身を投げるようキリストにすすめることによって暴露された悪意ある計画、あちらからこちらへとキリストを追いまわした絶えざる敵意、祭司や民たちの心をあおりたててキリストの愛を拒否させ、ついには「十字架につけよ、彼を十字架につけよ」と叫ばせたことなど―─こうしたすべてのことが全宇宙を驚かせ、憤慨させた。 GCJap 577.1
世の人々をしてキリストを拒むようにさせたのは、サタンであった。悪の君はイエスを滅ぼすために、彼のあらゆる力と悪知恵を傾けた。というのは彼は、救い主の憐れみと愛、同情とやさしさが、神のご品性を世の人々にあらわしているのを見たからであった。サタンは神のみ子が口にされる一つ一つの主張と論争し、人間を手先に使って救い主の生涯を苦しみと悲しみで満たした。イエスの働きを妨げようとして彼が用いた詭弁と虚偽、不従順の子らによってあらわされた憎悪、比類のない善良な一生を送られた神のみ子に対するサタンの残忍な非難、こうしたことはすべて根深い報復の念から出たのであった。閉じ込められていた嫉妬、うらみ、憎悪、復讐の炎は、神のみ子に対してカルバリーで爆発し、一方全天は恐怖のうちに沈黙してこの光景を見つめた。 GCJap 577.2
大いなる犠牲が完結された時、キリストは昇天されたが、彼は、「父よ、あなたがわたしに賜わった人々が、わたしのいる所に一緒にいるようにして下さい」との懇願をささげるまでは、天使たちの賛美を受けようとされなかった(ヨハネ17章24節)。そのとき天の父のみ座から、言いあらわしようのない愛と力とをもって、「神の御使たちはことごとく、彼を拝すべきである」との答えが与えられた(ヘブル1章6節)。イエスには少しの汚れもなかった。イエスの屈辱は終わり、その犠牲は完結し、すべての名にまさる名がイエスに与えられた。 GCJap 578.1
今やサタンの不義は言いわけの余地がなくなった。彼は、偽り者、人殺しとしての彼の本性を暴露してしまった。もしサタンが天の住民を支配することを許されたら、自分の権力の下にあった人の子らを支配したのと同じ精神で支配しただろうということが、明らかになった。彼は神の律法を破ることによって自由と高い身分が得られると主張していたが、その結果は束縛と堕落であることが明らかになった。 GCJap 578.2