各時代の大争闘
政権と教権との提携
しかし、この「獣の像」とは何であろうか。そして、それは、どのようにして造られるものなのであろうか。この像は、二本の角を持った獣によって造られるものであり、先の獣に模した像である。それは、また、獣の像とも呼ばれている。したがって、像が何であり、どのようにして造られるかを知るためには、獣そのもの、すなわち法王権の特徴を研究しなければならない。 GCJap 507.2
初代教会は、福音の単純さを離れて堕落し、異教の儀式と習慣を受け入れた時に、聖霊と神の力を失った。そして、人々の良心を支配するために、世俗の権力の援助を求めた。 GCJap 507.3
その結果が、法王権であって、それは、国家の権力を支配し、それを教会自身の目的、特に「異端」の処罰のために用いた教会であった。米国が獣の像を造るためには、宗教的権力が政府を支配し、教会が、教会自身の目的を遂行するために、国家の権力を用いるようにならなければならない。 GCJap 507.4
教会が世俗の権力を握った場合は常に、教会はそれを自分の教義に反対する者を罰するために用いてきた。世俗の権力と提携することによってローマの範に従ったプロテスタント諸教会も、良心の自由を束縛しようとする同様の欲望をあらわした。英国の国教会が、長年にわたって反対者を迫害したことは、そのよい例である。一六世紀と一七世紀にわたって、幾千という非国教徒の牧師たちが、教会を去らなければならなかった。そして、牧師も信徒も、多くの者が罰金、投獄、拷問、殉教の憂き目にあったのである。 GCJap 507.5
初代教会が政府の支持を求めるようになったのは、背教のためであった。そして、これが、法王権―獣―の発展する道を開いた。「まず背教のことが起り、不法の者……が現れる」とパウロは言った(テサロニケ第二・2章3節)。そのように、教会内の背教が、獣の像を造る道を開くのである。 GCJap 508.1