各時代の大争闘

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スコットランドの情勢

スコットランドにおいて、真理の種は、コルンバによってまかれた。そして彼の同志たちは、その後も決してなくならなかった。英国の教会がローマに服従してから数百年の間、スコットランドの教会は自由を保ち続けた。しかし、一二世紀に至って、法王権がこの地に打ち立てられ、他国では見られなかった絶対的支配が行われた。ここほど暗黒なところは他になかった。それにもかかわらず、光が輝いて暗黒をさし貫き、きたるべき日の約束を与えた。ロラード派の人々が、英国から聖書とウィクリフの教えを携えてきて、福音の知識の保持のために大いに貢献した。また、各世紀に、福音の証人と殉教者があらわれた。 GCJap 287.1

大宗教改革の開始とともに、ルターの著書が紹介され、それに続いて、ティンダルの英語の新約聖書が入ってきた。これらの書物は、法王側の目を逃れて、黙々と山々や谷間を行きめぐり、スコットランドで今にも消えそうになっていた真理の灯に新たな生命を与え、ローマが四世紀にわたって行ってきた圧迫から人々を解放した。 GCJap 287.2

さらに、殉教者の血が、運動に新たな刺激を与えた。法王側の指導者たちは、突然、彼らの働きが危機に陥ったのを悟って、スコットランドの最も高貴で栄誉ある人々を火刑にした。しかし、彼らは、説教壇を立てたにすぎなかった。そしてそこから、これらの証人たちの最後の言葉が全国に響き、ローマの束縛を打破するという不滅の目的をもって、人々の心を感動させたのであった。 GCJap 287.3

ハミルトンとウィシャートは、家柄も品性も高貴であったが、他の多くの質朴な弟子たちと共に、火刑にされて死んだ。しかし、ウィシャートの火刑柱から、炎も沈黙させることができない者、神の力によってスコットランドの法王権の没落を来たらせる者があらわれた。 GCJap 288.1