各時代の大争闘
ウィクリフの青年時代
ウィクリフは、高等教育を受けた。彼にとって、神をおそれることは知恵のはじめであった。彼は大学時代に、驚くべき才能と学識の持ち主であると共に、熱心な信仰の持ち主として知られていた。彼は知識欲に燃えて、あらゆる学問を身につけようとした。彼は、スコラ哲学、教会法、民法特に自国の法律を学んだ。こうした青年時代の教育は、後年の彼の活動に大いに役立った。彼はその時代の思弁哲学に通じていたので、その誤りを指摘することができた。そして、国の法律や教会の法規の研究によって、彼は、市民的自由と宗教的自由のための大いなる戦いにたずさわる準備ができた。彼は、神のみ言葉から得た武器をふるうことができたと同時に、学校における知的訓練を受けていたので、哲学者たちのかけひきをも知っていた。彼のすぐれた資質と深遠な学識には、敵も味方も尊敬を払った。彼の支持者たちは、自分たちの戦士が国家の指導者たちの中でも第一級の人物であることを誇りとした。そして彼の敵たちは、改革事業の支持者の無知と弱点を暴露して軽蔑するということができなかった。 GCJap 93.3
ウィクリフは、まだ学生であった時から、聖書の研究を始めた。まだ古代語で書かれた聖書しかなかったその時代において、学者たちは真理の泉への道を見い GCJap 93.4
だすことができたが、無学な者たちにはそれは閉ざされていた。こうして、ウィクリフの改革者としての将来の働きへの道は、すでに備えられていた。学者たちは神の言葉を研究し、そこに示されている豊かな神の恵みという大真理を見いだしていた。彼らは、その教えにおいて、この真理の知識を広め、他の人々を生きたみ言葉に導いていた。 GCJap 94.1
ウィクリフの注意が聖書に向けられた時、彼は、学業の修得にあたったのと同じく徹底的に、その研究にあたった。これまで彼は、スコラ哲学にも、教会の教えにも満足することができず、非常な物足りなさを感じていた。そして神のみ言葉の中に、彼はこれまで求めても得られなかったものを発見した。ここに彼は、救いの計画が啓示され、キリストが人類の唯一の仲保者として示されているのを見た。彼は、キリストのご用に自分自身をささげ、自分が発見した真理を人々に宣布しようと決心した。 GCJap 94.2