各時代の大争闘

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第33章—人は死んだらどうなるか

最初の大欺瞞

人間の歴史の最初から、サタンは人類を欺こうとする働きを始めた。天で反逆を起こしたサタンは、この世界の住民を、神の政府に反抗する彼の戦いに参加させようと望んだ。アダムとエバは、神の律法に服従して、完全に幸福な生活を送っていた。ところがそのことは、神の律法は圧制的であるとか、神の被造物の幸福に反するものであるとか言って、サタンが天で主張してきたことに対して、絶えず不利な証言となっていた。そればかりではなく、この罪のない二人のために備えられた美しいホームを眺めて、サタンは嫉妬心をかきたてられた。彼は人間を堕落させようと決心した。彼らを神から引き離して、自分の権力下に置き、この地球を手に入れて、ここに至高者なる神に反対する王国を建設しようとした。 GCJap 614.1

アダムとエバには、この危険な敵について警告が与えられていたから、サタンがその本性そのままの姿をあらわしたなら、たちまち撃退されてしまったであろう。だが、彼は効果的に目的を達成するために、真意を隠して秘密のうちに働いた。当時魅惑的な姿をしていたへびを媒介者に用いて、サタンは、「園にあるどの木からも取って食べるなと、ほんとうに神が言われたのですか」とエバに話しかけた(創世記3章1節)。エバがこの誘惑者と言葉をかわしさえしなかったら、彼女は安全であっただろう。だが彼女は、サタンにかかわり合ったために、彼の策略に落ちてしまった。今でも多くの者が打ち負かされるのは、このようにしてである。彼らは、神のご要求について疑いを抱き、議論する。彼らは、神のご命令に従わないで人間の説を受け入れるが、それは、偽装されたサタンの策略にすぎない。 GCJap 614.2

「女はへびに言った、『わたしたちは園の木の実を食べることは許されていますが、ただ園の中央にある木の実については、これを取って食べるな、これに触れるな、死んではいけないからと、神は言われました』。へびは女に言った、『あなたがたは決して死ぬことはないでしょう。それを食べると、あなたがたの目が開け、神のように善悪を知る者となることを、神は知っておられるのです』」(同3章2~5節)。あなたがたは神のようになって、これまでよりももっとすばらしい知恵を持ち、これまでよりももっと高い身分になることができるだろうと、サタンは言明した。エバは誘惑に負けた。そしてエバに感化されて、アダムも罪に陥った。神の言葉はそのまま信じるべきでないというへびの言葉を、彼らは受け入れた。彼らは、創造主を信じないで、神が彼らの自由を束縛しておられるものと考え、神の律法を犯すことによって、大きな知恵と高い地位を得ようとしたのである。 GCJap 615.1

しかしアダムは、罪を犯した後、「それを取って食べると、きっと死ぬであろう」という言葉の意味をどのように悟ったであろうか。それは、サタンが彼に信じさせようとしていたように、もっと高い身分に導き入れられるということであったろうか。そうだとすれば、罪を犯すことによって大きな利益が得られ、サタンは、人類の恩人になったわけである。しかしアダムは、神のみ言葉がそういう意味ではなかったことを知った。罪の刑罰として人間はその取られたところの土へ戻らなければならないと、神は宣告された。「あなたは、ちりだから、ちりに帰る」(同3章19節)。「あなたがたの目が開け」るというサタンの言葉は、次のような意味においてのみ真実であった。すなわち、アダムとエバは、神にそむいたあとで、目が開かれて、自分たちの愚かさを悟った。彼らは悪を知り、戒めを犯した苦い結果を味わったのであった。 GCJap 615.2