各時代の大争闘
サタンの軍勢
悪霊たちは、最初、罪のないものとして創造され、その性質と力と栄光において、今神の使いをしている聖なる存在者たちと同等であった。しかし、罪のために堕落して、彼らは、神のみ名を汚し人間を破滅させるために団結しているのである。彼らはサタンの反逆に加担し、彼と共に天から追放され、各時代を通じて、彼と協力して神の権威に逆らって戦ってきた。聖書には、彼らの同盟と政府、種々の階級、その知性と陰険さ、人間の平和と幸福を破壊しようとする悪だくみのことが記されている。 GCJap 593.1
旧約歴史にも、彼らの存在と活動についての言及が時々見られる。しかし、悪霊がその力を最も著しくあらわしたのは、キリストがこの地上におられた時であった。キリストは、人間を贖うために考え出された計画を実行するために来られた。そしてサタンは、世界の支配権は自分にあるということを断固として主張することに決めた。 GCJap 593.2
彼は、パレスチナを除く全地に、偶像礼拝を確立することに成功していた。キリストは、誘惑者の支配に完全には服していない唯一の国に、天の光を人々の上に輝かすために来られた。ここで、二つの対立した勢力が、覇権を争うことになった。イエスは、彼の愛の手を広げて、彼から赦しと平和を受けるようにと、すべての者を招かれた。暗黒の軍勢は、自分たちの支配には限度があることを認め、もしキリストの任務が成功するならば、すぐに自分たちの支配は終わることを知った。そこでサタンは、鎖につながれたししのように、ほえたけり、人々の心にも体にも、猛然と力をふるった。 GCJap 593.3
人間が悪霊につかれるということは、新約聖書の中にはっきりと述べられている。これに悩まされた人々は、ただ単に普通の原因で起きる病気に苦しんでいたのではなかった。キリストは、ご自分が扱っておられる事態を完全に理解し、そこに悪霊が実際に存在し働いていることを認めておられた。 GCJap 593.4
彼らの数と力と凶悪さの顕著な実例、そして同時にキリストの力と恵みの顕著な実例は、ガダラでの、悪霊につかれた人々のいやしに関する聖書の記録に示されている。悪霊につかれたこれらの哀れな人々は、あらゆる鎖を絶ち切って、もがき苦しみ、あわをふいて、怒り狂い、大声で叫びながら、自分たちの身を傷つけ、近づいてくる人にはだれにでも飛びかかりそうであった。彼らの傷ついた血みどろの体と錯乱した精神は、暗黒の君が喜ぶ光景であった。彼らにとりついていた悪霊の一人は、「レギオンと言います。大ぜいなのですから」と言った(マルコ5章9節)。ローマの軍隊では、レギオンというのは、三千から五千の人員で構成されていた。サタンの軍勢もまた、隊を組んで進軍し、これらの悪霊の属していた一隊は、レギオンほどの大きなものであった。 GCJap 594.1