各時代の大争闘
獣とは何か
第三天使は、神の戒めを守り、イエスを信じる信仰を持ち続ける者とは対照的に、別の一団を指摘している。そして彼らの誤りに対して、厳粛で恐ろしい警告が発せられている。「おおよそ、獣とその像とを拝み、額や手に刻印を受ける者は、……神の激しい怒りのぶどう酒を飲」む(黙示録14章9、10節)。このメッセージを理解するには、ここに用いられている象徴を正しく解釈することが必要である。獣、像、刻印とは、いったい何をあらわしているのであろうか。 GCJap 502.1
これらの象徴が用いられている一連の預言は、黙示録12章から、キリストを誕生の時に滅ぼそうとした龍から始まっている。龍は、サタンであると言われている(同12章9節)。救い主を殺すためにヘロデを動かしたのは、サタンであった。しかし、キリスト教時代の初期において、キリストと彼の民に戦いをいどんだサタンの主力は、ローマ帝国であり、そこにおいて最も有力な宗教は、異教であった。こうして、龍は、第一義的にはサタンをあらわすが、第二義的には異教ローマの象徴である。 GCJap 502.2
13章(1~10節)にはもう一つの獣が描かれていて、それは「ひょうに似ており」、龍は、「自分の力と位と大いなる権威とを、この獣に与えた」。この象徴は、たいていのプロテスタントが信じてきたように、かつて古代ローマ帝国が握っていた力と位と権威とを継承した法王権をあらわしている。ひょうに似た獣について、次のように言われている。 GCJap 502.3
「この獣には、また、大言を吐き汚しごとを語る口が与えられ、……そこで、彼は口を開いて神を汚し、神の御名と、その幕屋、すなわち、天に住む者たちとを汚した。そして彼は、聖徒に戦いをいどんでこれに勝つことを許され、さらに、すべての部族、民族、国語、国民を支配する権威を与えられた」。ダニエル書7章の小さい角の描写とほとんど同じであるこの預言は、疑いもなく法王権を指している。 GCJap 502.4
「四二か月のあいだ活動する権威が与えられた」。そして、「その頭の一つが、死ぬほどの傷を受けた」と預言者は言っている。また、「とりこになるべき者は、とりこになっていく。つるぎで殺す者は、自らもつるぎで殺されねばならない」とある。四二か月は、ダニエル書7章の「ひと時と、ふた時と、半時の間」、つまり三年半、すなわち一二六〇日と同じで、その期間の間、法王権は神の民を圧迫するのであった。この期間は、すでに述べたように、法王権が至上権を握った紀元五三八年に始まり、一七九八年に終わった。この時、法王はフランス軍の捕虜になり、法王権は致命的な傷を受けた。「とりこになるべき者は、とりこになっていく」 GCJap 503.1