各時代の大争闘
第20章—一九世紀の世界的再臨運動
世界的な大運動
キリストの再臨が間近いという宣言のもとに、宗教的大覚醒運動が起こることが、黙示録14章の第一天使の使命の預言の中に予告されている。「もうひとりの御使が中空を飛ぶのを見た。彼は地に住む者、すなわち、あらゆる国民、部族、国語、民族に宣べ伝えるために、永遠の福音をたずさえてきて、大声で言った、『神をおそれ、神に栄光を帰せよ。神のさばきの時がきたからである。天と地と海と水の源とを造られたかたを、伏し拝め』」(同14章6、7節)。この警告が、天使によって宣布されるといわれていることは、意義深い。神、天使の純潔と栄光と力とによって、この使命の果たす働きの高尚な性質と、それに付随した力と栄光とを象徴することをよしとされた。天使が「中空を飛び」「地に住む者、すなわち、あらゆる国民、部族、国語、民族に」宣布するために、「大声」で言ったということは、この運動が急速で世界的範囲のものであることを証明している。 GCJap 408.1
この運動がいつ起こるものであるかについては、メッセージ自体が明らかにしている。それは、「永遠の福音」の一部であると宣言されている。そして、審判の開始を告知している。救いのメッセージは、各時代において宣べ伝えられてきた。しかし、このメッセージは、終末時代においてのみ宣布される福音の一部分である。というのは、その時において初めて、さばきの時が来たということができるからである。預言は、審判が始まるまでに相次いで起こる種々の事件を示している。特にダニエル書がそうである。しかし、ダニエルは、最後の時代に関する預言を、「終りの時まで」秘し、封じておくように命じられた。この時が来るまで、これらの預言の成就に基づいて審判に関するメッセージを宣布することはできなかった。しかし、終わりの時に、「多くの者は、あちこちと探り調べ、そして知識が増すでしょう」と預言者は言っている(ダニエル書12章4節)。 GCJap 409.1
使徒パウロは、彼の時代にキリストが来られると期待しないようにと、教会に警告した。「まず背教のことが起り、不法の者……が現れるにちがいない」と彼は言っている(テサロニケ第二・2章3節)。大背教が起こり、「不法の者」の長い支配期間の終わったあとで、初めてわれわれは、主の再臨を期待することができる。「不法の秘密の力」「滅びの子」とも言われている「不法の者」とは、一二六〇年の間、至上権をふるうと預言された法王権のことである。この期間は、一七九八年に終結した。キリストの再臨は、この時より前には起こり得ないのであった。パウロは、一七九八年までに及ぶキリスト教時代全体を、彼の警告の中に含ませている。キリスト再臨のメッセージが宣布されるのは、その時以後になるのである。 GCJap 409.2
過去において、このようなメッセージは伝えられたことがない。すでに触れたように、パウロもそのことを宣布しなかった。彼は主の来臨を、その当時よりはるかに先のこととして同信の人々に示した。マルチン・ルターは、審判を、彼の時代から約三〇〇年後のことであるとした。しかし、一七九八年以来、ダニエル書は封を開かれ、預言の知識は増加し、審判の切迫という厳粛なメッセージを多くの者が宣言したのである。 GCJap 409.3
一六世紀の大宗教改革と同様に、再臨運動は、キリスト教世界の各国で同時に起きた。ヨーロッパとアメリカの両方で、信仰と祈りの人々が、預言を学び、聖書を研究して、万物の終末が近いという確かな証拠を認めた。各地において、孤立したキリスト者の諸団体が、聖書の研究だけによって、救い主の再臨が近いと信じるに至った。 GCJap 410.1