各時代の大争闘

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祈りの力

大宗教改革によって世界を揺り動かした力は、密室の祈りから出たものであった。そこにおいて、神聖な静けさのうちに、主のしもべたちは神の約束の岩の上にしっかりと立った。アウグスブルクの闘争の間中、ルターは、「一日に少なくとも三時間は、祈りに時を費やした。そして、それは、研究のために最もよい時間を割いたものであった」。彼が一人自分の部屋の中で、「崇敬とおそれと希望に満ちて、友人と語るかのような」言葉で、神の前に彼の魂を注ぎ出すのが聞こえた。「わたしは、あなたがわたしたちの父であり、わたしたちの神であられることを知っています。そして、あなたが、あなたの子供たちを迫害する者を散らされることを知っています。それは、あなたご自身が、わたしたちと共に危険に陥っておられるからです。このことは、ことごとくあなたのものです。そして、わたしたちが、それに着手したのも、あなたによって、そうさせられたにすぎません。それですから、ああ、父よ、わたしたちをお守りください!」と彼は言うのだった。 GCJap 242.2

不安と恐怖の重荷にうちひしがれていたメランヒトンに、彼は、次のように書いた。「キリストにある恵みと平和があるように。世ではなくて、キリストにあるのだ。アーメン。わたしは、あなたを圧倒する極度の心労を非常に憎んでいる。もし改革事業が正しくなければ、それを捨てよ。もしそれが正しければ、恐れず眠れと命じられる主の約束をなぜ信じないのか。……キリストは正義と真理のわざに欠けるお方ではない。彼は生きて支配しておられる。それならば、われわれは、何を恐れることがあろうか」 GCJap 243.1

神は、神のしもべたちの叫びをお聞きになったのである。神は、王侯たちや牧師たちに、この世の暗黒の支配者に対抗して、真理を維持する恵みと勇気をお与えになった。「見よ、わたしはシオンに、選ばれた尊い石、隅のかしら石を置く。それにより頼む者は、決して、失望に終ることがない」と主は言われる(ペテロ第一・2章6節)。プロテスタントの改革者たちは、キリストの上に築いた。そして、黄泉の門は彼らに打ち勝つことができなかった。 GCJap 243.2