各時代の大争闘

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第40章 神の民の救出

約束のにじ

人間の法律による保護が、神の律法を尊ぶ者たちから取り去られると、彼らを滅ぼそうとする運動が、あちこちの国で、いっせいに起こる。法令に定められた時が近づくにつれて、人々は、この憎い教派を根こそぎにしようとたくらむ。一夜のうちに決定的な打撃を与えて、異議と非難の声を、全く沈黙させようということが決定される。 GC 1909.1

神の民は、独房の中にいる者たちもあれば、森林や山々の寂しい隠れ家にいる者たちもあるが、なおも神の保護を求めて祈っている。一方、いたるところで、武装した集団が悪天使の軍勢にかりたてられて殺害の準備をしている。絶体絶命の今こそ、イスラエルの神が、ご自分の選民を救うために手を下されるのである。主は言われる。「あなたがたは、聖なる祭を守る夜のように歌をうたう。また……主の山にきたり、イスラエルの岩なる主にまみえる時のように心に喜ぶ。主はその威厳ある声を聞かせ、激しい怒りと、焼きつくす火の炎と、豪雨と、暴風と、ひょうとをもってその腕の下ることを示される」(イザヤ30:29、30)。 GC 1909.2

かちどきや、あざけりや、のろいの声をあげながら、悪人たちの群れが、今にもそのえじきに飛びかかろうとするその時、見よ、夜の暗黒以上の深いやみが、地をおおうのである。続いて、神のみ座からの栄光に輝くにじが天にかかり、祈っているどの群れをも取り囲むように見える。怒り狂った群衆が、急に引き止められる。彼らのあざ笑いの叫びが消える。なんのために殺気だっていたのかも忘れられる。彼らは、恐ろしい予感におののきながら神の契約の象徴を見つめ、その圧倒的な輝きから隠れたいと願う。 GC 1909.3

神の民には、「上を見なさい」というはっきりした音楽のような声が聞こえてくる。彼らが目を天に向けると、約束のにじが見える。 GC 1909.4

大空をおおっていた黒い、怒ったような雲が裂けて、彼らは、ステパノのようにじっと天を見つめて、神の栄光と、人の子がそのみ座にすわっておられるのを見る。イエスのこうごうしいお姿の中に、十字架の恥を忍ばれた時の傷跡を、彼らは認める。そして、主が天父と聖天使たちの前で、「あなたがわたしに賜わった人々が、わたしのいる所に一緒にいるようにして下さい」と願われるのを、主のくちびるから聞くのである(ヨハネ17:24)。「きよく、傷なく、汚れのない者たちがやってくる。彼らは、わたしの忍耐のことばを守った。彼らは、天使たちとともに歩くことができる」と言われる音楽のような勝利に満ちたみ声が、再び聞こえてくる。すると、信仰を固く保ってきた者たちの青ざめふるえていたくちびるが、勝利の叫びをあげる。 GC 1909.5