各時代の大争闘

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第5章 改革の明星ウィクリフ

改革の先駆者

宗教改革以前には、ほんの少ししか聖書がなかった時があったが、神は、神のみ言葉が全く滅び失せることをお許しにならなかった。聖書の真理は、永遠に隠しておかれるべきではなかった。神は、牢獄の扉を開き、鉄の門のかんぬきをはずして、神のしもべたちを自由にすることができたのと同様に、生命の言葉を解放することも、たやすいことであった。ヨーロッパ各国において、人々は聖霊に動かされて、隠れた宝をさがすように真理を研究した。彼らは、摂理的に聖書に導かれて、非常な興味をもってそれを研究した。彼らは、どんな犠牲を払ってでも、光を受けようとしていた。彼らは、すべてのことをはっきりと認めたわけではなかったけれども、久しくうずもれていた多くの真理を見いだすことができた。天からの使者として彼らは出て行き、誤りと迷信の鎖を砕き、長い間縛られていた人々に、立ち上がって自由を主張するように呼びかけた。 GC 1626.1

ワルド派の人々を除いては、神の言葉は長い間、知識階級だけが読める言語の中に閉じ込められていた。しかし、聖書が翻訳されて、各国の人々に自国語で与えられる時が来た。世界はその真夜中を過ぎた。暗黒の時は過ぎようとしていた。そして各国に、夜明けのしるしが現れつつあった。 GC 1626.2

14世紀、英国に、「宗教改革の明星」が現れた。ジョン・ウィクリフは、英国だけでなくて、全キリスト教国にとっての、改革の先駆者であった。彼が語ることを許されたローマに対する一大抗議は、決して沈黙させることができなかった。その抗議は紛争のきっかけとなって、ついに個人、教会、国家の解放が起こったのである。 GC 1626.3