患難から栄光へ

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『患難から栄光へ』の由来

『患難から栄光へ』という本書の書名は、新約聖書の次の箇所から出ている。 AAJ 1.1

「だから、わたしたちは落胆しない。たといわたしたちの外なる人は滅びても、内なる人は日ごとに新しくされていく。なぜなら、このしばらくの軽い患難は働いて、永遠の重い栄光を、あふれるばかりにわたしたちに得させるからである。わたしたちは、見えるものにではなく、見えないものに目を注ぐ。見えるものは一時的であり、見えないものは永遠につづくのである。」 AAJ 1.2

この数行の文章は、初期のキリスト教会の主な指導者の一人であったパウロが、紀元五七年ごろコリント市(ギリシヤ)にいる信徒たちに宛てて書いた手紙の一節である(コリント人への第二の手紙四章一六節-一八節)。 AAJ 1.3

この格調高い文章はひとの心を打つ不思議な力をもっている。それは主張というより告白である。そして告白である以上、そこに秘められた経験がある。それは手紙を書いたパウロの、また手紙を受けとったコリント市のクリスチャンたちの、さらに、ローマ帝国の各地に散在した多くの信徒たちの経験を表わすことばであった。 AAJ 1.4